松枯れの状況
三里松原の松枯れは、平成18年度から年々増え始め、その後10年間で約13万8千本の松を喪失しました。
平成25年度に松枯れのピークを迎え、近年ようやく終息の方向へ向かっています。
松枯れの原因
長さ1ミリメートルに満たないマツノザイセンチュウという生物が原因と言われています。
松くい虫による松枯れのしくみは次のとおりです。
- マツノザイセンチュウがカミキリ虫の体内に入り込む。
- 孵化した、または飛んできたカミキリ虫が若い松の枝を食べる。
- カミキリ虫の体内からマツノザイセンチュウが出てきて、枝のかみ傷から松の枝に入っていく。
- マツノザイセンチュウが松の中で増殖する。
- 松の水を吸い上げる管が詰まる。または水を吸い上げる機能を松が止める。
- 松が弱体し、やがて枯れる。
マツノザイセンチュウを体内に抱えたカミキリ虫は、別の若い松の枝を求めて飛び立ちます。こうして多くの松の被害が発生します。
予防と対策
こうした松枯れ被害を予防するため、次のような取り組みが行われています。
- 空中散布 民家から離れた場所については、ヘリコプターによる薬剤散布が行われています。
- 地上散布 空中散布できない場所で実施する薬剤散布方法です。
- 樹幹注入 マツノザイセンチュウの樹体内での移動や繁殖を阻止する薬剤を松に直接注入します。
- 特別伐倒駆除 被害を拡大させないために、枯れた木を切り倒し、破砕処理をします。
国などへの要望活動
三里松原防風保安林保全対策協議会では、三里松原の松枯れの防止と早期再生に向けて福岡森林管理署に対して要望活動を行っています。
また、岡垣町においても、平成26年11月に福岡県筑前海沿岸の4市5町で(糸島市、新宮町、古賀市、福津市、岡垣町、芦屋町、遠賀町、水巻町)構成する協議会を設立し、福岡県や林野庁など国に対する要望活動を毎年行っています。
三里松原の松枯れ被害の状況
三里松原の松枯れ被害の状況は次のとおりです。
年度 | 被害本数(本) | 被害材積量(立方メートル) |
---|---|---|
平成16年度 | 362 | 90 |
平成17年度 | 19 | 6 |
平成18年度 | 793 | 300 |
平成19年度 | 952 | 366 |
平成20年度 | 1,398 | 285 |
平成21年度 | 2,249 | 439 |
平成22年度 | 5,278 | 1,100 |
平成23年度 | 11,585 | 2,727 |
平成24年度 | 27,889 | 5,064 |
平成25年度 | 33,112 | 5,961 |
平成26年度 | 26,828 | 4,462 |
平成27年度 | 15,853 | 3,017 |
平成28年度 | 12,083 | 2,132 |
平成29年度 | 2,846 | 507 |
平成30年度 | 2,137 | 352 |
令和元年度 | 995 | 240 |
令和2年度 | 1,207 | 283 |